復職コース(リワークプログラム)
【短期復職コース】のご案内
リワークプログラムとは
「リワーク」とは、「return to work(職場復帰)」の略語です。
うつ病治療のために休職されている方を対象とした復職支援であり、多職種の医療専門職による医学的リハビリテーションとして実施されます。
短期復職コースでは、うつ症状を改善し短期間(4ヶ月程度)での復職を目指します。
当院は、日本うつ病リワーク協会の「会員リワーク施設」です
当院のリワークプログラムの内容は、同協会が推奨する「標準化リワークマニュアル」に沿い、且つエビデンス(治療的根拠)に基づいて立案しております。
当院では、医師・看護師・作業療法士・精神保健福祉士が連携して復職支援を行っています。治療を担当するスタッフは、厚生労働省認知行動療法研修事業の研修を修了したスタッフ、不安とうつの統一プロトコルの研修を修了したスタッフが担当します。
また、定期的に認知行動療法のスーパービジョン※を受講することで、治療の質の担保、向上に努めています。
※スーパービジョン
スーパーバイザー(治療の指導者)からスーパーバイジー(治療者)が、治療内容についての指導、フォードバックを受けることです。
①治療を安全に実施し、患者さんの安全を守ること、②治療を効果的に実施すること、③治療者の能力を向上すること、を目的に行われます。
医療リワークと福祉リワークの違いについて
医療(デイケア) | 福祉 | |
---|---|---|
スタッフ | 有資格者 | 資格不問 |
エビデンス(治療的根拠)を基にした、治療プログラムの立案 | 〇 | × |
医療的視点によるアセスメントの実施 | 〇 | × |
医療的視点によるアセスメントを基にした、 ご本人、職場との情報共有の実施 |
〇 | × |
多職種連携による治療の実施 | 〇 | × |
生活リズム・作業能力・体力等に加えて、 感情・認知(考え方、捉え方)・行動への介入を行う |
〇 | × |
再発予防を目的に、治療スキルの般化を促進する | 〇 | × |
ご利用を検討されている方へ
当院のリワークプログラムの治療目標は、自分の感情に気付いて、感情とうまく関われるようになることです。
感情は様々なかたちで生活に影響を及ぼします。
不安、悲しみ、怒り、罪悪感のような感情に苦しんだり、感情との関わりが難しくなる場合として、3つの特徴があります。
1.ひんぱんに強い感情が起こる
感情にまつわる困難を抱える人は、とてもひんぱんに強い感情を体験します。そのような人は、生まれながらに感情へと敏感に反応しやすい傾向があります。
しかし、ここで大切なことは、感情を強く体験しても、必ずしもいつも苦しくなるわけではないという点です。
感情の強さそのものではなくて、その感情にどう関わるか、がとても大切になります。
2.感情を否定的にとらえる
感情に苦しむ人は、自分の感情をネガティブにとらえがちです。
「こんなふうに感じるべきではない」「こんなことで動揺するのは自分が弱いからだ」と考えて、自分に厳しい目を向けます。
また、強い感情と悪い結果を結びつけて、「不安でいると、みんなにだめなやつだと思われる」「怒りの感情をもってしまったら、後悔する行動をとるはずだ」「悲しんだら、立ち直れなくなってしまう」と考えるかもしれません。
ある特定の要素に関連した感情がとくに苦しい場合もあります。
たとえば、お腹のあたりがソワソワする感覚など、感情に関わる体の感覚を不快に思う人もいるでしょう。
考えたくないようなことが何度も頭に浮かんできてしまい、そのことにひどく悩まされる人もいるでしょう。
ときには、ポジティブな感情に対してさえネガティブに反応するかもしれません(例:「わくわくしてしまったら、いい結果が出なかったときに、余計にがっかりするだろう」)。
3.感情を避ける
感情に苦しむ人は感情を否定的にとらえて、感情を避けるようになっていきます。
感情を避けることを「回避」とよびます。回避は、長い目でみるとよい結果につながらないことがわかっています。
たいていの場合、感情を避けようとすることで短期的には気分が和らぎます。
しかし、長期的にみると激しい感情がもっとひんぱんに起こるようになります。ぬかるみにはまったかのように、もがけばもがくほど、激しい感情から抜け出せなくなります。
さらには、感情につながる行動や状況を避けるために、生活が制限されていきます。
仕事に行ったり、友人と過ごしたり、何かを楽しんだりといったことが自由にできなくなり、日々の生活がどんどん狭くなっていきます。
この治療では、感情との関わり方を変えていくことを目的にしています。回避するのではなく、感情を受け入れて、うまく関わっていけるように練習していきます。
そのために、様々なプログラムを準備しています。
短期復職コース プログラムの紹介
プログラムの日程(例)
うつと不安への認知行動療法の統一プロトコル(UP)
うつ病や不安症など幅広い感情のつらさに対して開発された認知行動療法です。
UPでは、感情とうまく関わるスキルを学びます。
具体的には、感情を観察するスキル、自分が感じていることをそのまま素直に感じて気づくスキル、やわらかく考えるスキル、いつもと違う行動を取るスキル、身体感覚になれるスキルなどです。
こうして学んだ全てのスキルを使って、いままで避けがちだったけれども本当はやりたかったことにとり組んでいきます(これを“感情エクスポージャー”と呼んでいます)。
「うつと不安への認知行動療法の統一プロトコル ワークブック 改訂第2版」を用いて治療を進めて行きます。
UPのモジュール
モジュール1:目標を定め、やる気を育む
モジュール2:感情を理解する
モジュール3:ありのままの現在に気づく
モジュール4:やわらかく考える
モジュール5:代わりの行動をとる
モジュール6:身体感覚になれる
モジュール7:感情エクスポージャー:UPスキルの総実践
モジュール8:できたことを認めて、この先に活かしていく
集団OA
職場を摸擬的に再現し、仕事に近い内容のオフィスワークを行います。
相談・交渉・調整等、参加者同士でのコミュニケーションが重要となる課題に取り組みます。
その過程を通して、上手くいかなくなる自身のパターンについて確認したり、UPで学んだ新たな対処法(スキル)を実践練習する場としても活用します。
セルフモニタリング
休職に至った経緯(働き方や考え方)について振り返ります。
また、復職後起こりうるストレス場面へのUPスキルを用いた対処法を検討し、「自分の取扱説明書」としてまとめます。
心理教育
うつ病の症状やメカニズムについて学び、うつ病について理解を深めます。
自身の生活や活動と気分の変動の関係性、注意サインについてモニタリングします。
運動プログラム(Zumba)
Zumbaというフィットネスプログラムを行います。
Well-beingに寄与することが証明されているエクササイズであり、リズムに合わせて楽しく体を動かすことに重点が置かれているプログラムです。
運動や体力に自信がない方も無理をせず参加いただけます。
個別OA
集中力や作業能力の回復を目的に、個別で課題に取り組みます。
定期面談
スタッフによる定期面談(20分)を2週ごとに行います。
治療中に生じる葛藤や、課題について話し合い、協働的に治療を進めて行きます。
短期復職コースの流れについて
①導入期
- デイケアに慣れる
- 治療者、他利用者との安全な関係性を構築する
- 生活リズム、通所の安定化
- 病状の改善を図る
②振り返り期
- 集団OAで自身の特性を観察する
- UPを開始する
- セルフモニタリングを開始する
③復職期
- セルフモニタリングで「自分の取扱説明書」を完成させる
- UPスキルを集団OAや実生活で総実践する(感情エクスポージャー)
他院通院中の方の復職コース(リワーク)利用について
当院では、主治医を変更せずにデイケアのみ当院を利用していただくことが可能です。通院先医療機関との情報共有のため、2ヶ月ごとに、「診療情報提供書」に「定期報告書+復職準備性評価シート」を添付し、情報提供いたします。
「ご利用の流れ」をご確認いただき、デイケア初診予約枠※より初診の予約をお取りください。
※デイケア初診予約枠について
通常の初診予約枠とは別に、「デイケア初診予約枠」を設けております。 デイケア利用目的の方は火曜日・金曜日17:00に予約を入れることができます。 WEB予約、電話予約(0234-43-6177)にて受け付けております。
対象となる方
- うつ病のため、休職中の方
- 職場に復職したいという意欲のある方
- 生活リズムがある程度整い、プログラムに参加できる程度に病状が安定している方
- 利用に関して企業の人事、産業保健スタッフの了解を得ている方
利用期間
4ヶ月程度
利用方法
デイケア1日利用(9:00〜15:00)、週5日
デイケアの見学、プログラムの説明の対応をさせていただいております
ご利用を検討されたい方、企業の人事ご担当の方、社員の健康管理に従事されている方等、お気軽にお問い合わせ下さい。
- Email:smc.daycare6188@gmail.com
- TEL:0234-43-6188(デイケア直通)